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南国の王様と宰相
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とある南の王国。
「陛下、一大事です!! 王太子殿下の婚約者にふさわしい家柄の令嬢が見つかりません!!」
宰相は青ざめて王に訴えた。
「なぜか名家には男子ばかり生まれ、女子が誕生しません! これでは王家が途絶えてしまいます」
が、国王は面倒くさそうに手を振った。
「あー、それね、大丈夫。倅はうちのメイドとデキてるから。子供でもできれば、踏ん切りつくだろ」
「陛下~。王妃が平民では示しがつきません。ま、ましてや、結婚前に子供なんて……」
「いまどき、貴族だの婚約者だの、流行らないよ。デキ婚するぐらいの方が、庶民ウケするでしょ」
やがて国王の予想通り、王子はメイドと結婚、三か月後に姫が誕生し、みな祝福した。
同じように、北の王子は祭りで出会った踊り子と、東の王子は、バツイチ子連れの女医と結婚。
西の王子は学生時代の親友と結婚したが、相手が同性とのことで、ちょっとした騒ぎになる。が、今の時代にむしろ相応しいと、国民は歓迎した。
これも造物主様のお陰と、だれもが偉大なる神に感謝を捧げた。
が、当の造物主は、怒ってた。
せっかく転生悪役令嬢ざまぁ設定用意したのに、誰も転生してこないじゃない~~!!
今や恋愛結婚なんて時代遅れ!
愛のない結婚から愛に目覚めるツンデレ設定がおいしいのに~なぜ、民はわかってくれないの?
西王子がBLしてくれたのだけがおいしかったけど、普通に健全さわやかカップルなんだもの、萌えない~!!
誰よ、転生邪魔してるのは……ふふふ、わかったわ、お前ね……お前を何とかすれば……。
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