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夜。吉日市には珍しく、豪雨に見回られた。
深夜ということもあり人影はなく、ただただ雨の音だけが響いていた。
しかし、そんな雨の中1人の少女が歩いていた。
傘もささず、虚ろな瞳で真っ直ぐ歩く少女は…異質…言葉を変えればどこか妖艶を漂わせていた。
純白のワンピースはずぶ濡れで肌に張り付き、銀色の髪もこの雨と暗闇では目立つことはなかった。
吉日市に入ってどれほど歩いたか…少女は倒れてしまった。誰も助けることはできない…近くにだれもいない…ただただ雨だけが無情にも降り続けるのであった。
どれほどの時間がたったであろうか、少女に奇跡が起こった。
暗闇の中、1人の少女が彼女の元へ歩いてきた。少女は彼女を見つけると急いで近寄り、彼女を抱きあげた。
「酷い熱です…。急いで戻らないと」
暗闇の中、抱きあげた少女はその場から消えた。
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