罰ゲームでクラス一の陰キャに告白して付き合う話

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 初めましてこんにちは。オレの名前は二階堂怜央です。気軽に、レオって呼んで下さいね。仲いい連中も、みんなオレの事そう呼びます。  さて、新学期が始まってしばらくは放課後の練習がありません。学校が終わって、部の連中と近くのカラオケまでやって来ました。  気のおけない連中と騒いで、つまらない話をして盛り上がって。馬鹿馬鹿しいけれど、かけがえのない楽しい時間…。その筈だけど、何だか今日は気分が乗りません。  昼休みの出来事が、頭をよぎりました。友達から強制された、罰ゲームの告白。すぐに、「冗談だよーん!ごめんね!」で終わらせる筈だったのに。  加藤くんかぁ。…あんな風に、オレを拒絶した奴は初めて…。そして、あんな目(見えないけど)でオレの事を見た奴も初めて。気になって、仲間との会話やカラオケにも興が乗りません。気がつけばいつの間にか、一番点数が低かったオレは何らかの罰ゲームをやらされる事になっていたらしい。またかよ。今日、こんなんばっかだな…。  仲間たちが、罰の内容を何にするかで盛り上がっている。はいはい。何でもしますけど、お手やわらかにね…。そのように、諦めの境地に達していると。  隣の部屋から、女性の歌声が聞こえてきた。クッソうめえ。そこまでマイクの音量も大きくないと思うのだが、こっちの部屋までよく響く綺麗な声だ。歌の内容は、J-POPの女性歌手のやらアニソンが主だがえらくバラエティに富んでいる。いつの間にか、オレたちは自分らが歌うのも忘れて隣の部屋の歌声に聞き入っていた。  「何あれ、クッソうめえ…。プロ?な訳ないよな。プロ目指してヒトカラで練習してる歌手志望の女の子、とか?」  「ってか、声優志望?声も何か、鬼○明里に似てね?ぜってー、顔も可愛いよな」  そうして自然な流れで、罰の内容も定まった。トイレの帰りに部屋を間違えた振りをして、隣の部屋に乱入。歌に対するお世辞を言いまくり、あわよくばこちらの部屋まで「お持ち帰り」する任務だそうで。く、くだらねぇ…。  まぁいいや。何だかんだで、オレも隣の部屋の歌姫が気になってきた。色々あって悶々としてたので、気晴らしになるかもだしね。二階堂怜央、いざ参る!  そうして自分たちの部屋を出て、さも間違えたような振りをして隣の部屋の扉を開けた。さて、そこで歌っていた人物の正体とは!?…ここまで丁寧に振ったら、賢明なる読者のみなさんは薄々お気づきかな。  「…加藤くん…?」
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