罰ゲームでクラス一の陰キャに告白して付き合う話

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 「加藤くん…?こんな所で、どうして…?」  間抜けな質問だ。彼だって一人の客なのだから、お金を払って歌を歌っていたのだろうさ。突然の展開に頭が付いていかなかった訳だが、それは彼にとっても同じだったようだ。  昼間の悪態はどこへやら、驚愕の目線(見えないけど)をオレに向けてしどろもどろに語りだした。  「に、二階堂くん…。こ、これは違うのです。ボクは、決して…」  「あぁ、ヒトカラの事?昔はぼっちがやるとか言われてたけど、最近は普通じゃん?練習のために、ヒトカラ専用のカラオケとかあるくらいだし。そんな、気にしなくても…」  「そっちじゃなくて!違うんです。さっきまでの歌は…その、ボクでは…」  「言うて、君しかいないでしょ。いいじゃん。すっげー綺麗な歌声だし、クッソうまかった。ちょっと、惚れかけたわ。むしろ、何が悪いの?」  「…うぅ。高校生にもなって、声変わりもしてない高い声で。女性の歌ばっかり歌ってるのが、恥ずかしくて。だけど、歌うのは好きで。その…」  「そうなんだ?っていやいや、こんな学校から近いカラオケで歌ってたらいつかそのうちバレるって。加藤くんって、しっかりしてるように見えて結構抜けてるんだね!あ。結局、『ひとなり』君?『じんせい』君?どっち?」  「今までに、百万回くらい言われましたそれ。どちらでも、呼びたい方でどうぞ。それでは、バレてしまったようなのでボクは退散します…」  「ちょ、ちょっと待って!みんなには、内緒にしとくからさ。…歌、好きなんでしょ?別んとこで、歌いなおそーぜ。オレの地元で、学校の奴らは誰も来ないカラオケ知ってるからさ。それと、ちょい待って。隣の連中に、LIME送るわ。『嘘のつもりでトイレ行ってたら、ガチに腹を壊してしまったので帰ります。』…これで、良し」  そう言って、嫌がる彼の手を引っ張って無理やりカラオケを後にした。スマホには、きっと「抜け駆けは許さねぇ!」的な返信が届いていたであろう。
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