散った桜に咲いた恋

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 好きになったきっかけは、ほんの些細なことだった。  前の席だったユウくんと、よく話すようになって、少しずつ仲良くなって。  忘れものの貸し借りや、同じ委員会でのやり取りの中で、だんだんユウくんの真面目さや、ふとした時に見せる優しさを知って。  ある日、偶然彼の手が私の腕に触れた時、今まで感じたことのないような胸の高鳴りに戸惑った。  友達に「付き合ってるの?」ってイジられる度に意識して、いつの間にか本当に好きになっていた。  どんなに憂鬱な朝も、彼を一目見たら驚くほど晴れやかな気持ちになったし、眠れない夜も、その日彼と話した内容を振り返るかけがえのない時間になった。  ユウくんに、「ノート綺麗だね」って褒めて欲しくて、丁寧に字を書くようになったし、振り向いて欲しくて何度も髪型を変えたっけ。  偶然会えないかなってワクワクした夏祭りも、遠くから名前を呼んでもらえた修学旅行も、一緒に泣いた体育祭も、放課後準備で遅くまで残った文化祭も。  全部全部、ユウくんのおかげでびっくりするくらい楽しかった。  ユウくんがいなかったら、こんなにも大切にしまっておきたくなるような三年間にはなっていなかったはずだ。  だから、絶対に泣かない。 「今までありがとう」  心からお礼を言うよ。  私に、苦しくも優しい初恋と、二度と経験できないような煌めく瞬間を与えてくれて、ありがとう。      
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