エピソード4

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 猫が目を細めて返してきた。  「自分の親を迎えて見送る役目も(にな)うことになるぞ?  そして、待ち望む者が、別の存在と人生を送るかもしれない。そうなっていても受け入れると言えるか?」  思わない質問だったようで、少年はとまどうように黙ったが、唇を噛みしめながら、猫の言葉に(うなづ)いてきた。  反応を確かめるように見つめていた猫が、喉を鳴らした。その音は、満足そうな響きを帯びていた。  「分かった。そこまでの決心なら大丈夫だろう。  務めるがいい」  猫が言うと、少年の服装が変わった。制服姿から渡し守の装束(しょうぞく)へと。  「急いで岸に向かうぞ。  彼らは待ってくれないからな」  頷く少年の肩に乗った猫が、新しい渡し守の誕生を知らせるように、ひと声鳴くと、大地は一瞬震え、そして平静を取り戻した。  それは、大地が新しい渡し守を認めた(あかし)だった。
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