ずっと思わせぶりでいいのに…

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ずっと思わせぶりでいいのに…

「来るぞ来るぞ…きたーーーーーー今日もgirlyだ」 午後3時30分きっかりに我が社のメール郵便集荷係の彼女がカウンターの横を通る。 フェラガモの香水風雅、銀色のギンガムチェックミニスカートにピンクのカーディガン、今日は首元にお洒落なスカーフみたいなものを巻いている。 「あのスカーフみたいの、OMOWAEBURI ブランドじゃないか」 同僚のひとりが呟く。 俺は思わずスマホで『思わせぶり スカーフ』を検索し、目を伏せる。あひるが首にスカーフ巻いた写真がヒットする。 「見ろよ あのマスク」 また、別の同僚がひそひそ話する。 よーく見てみると、彼女は鳥のくちばしみたいな今流行のマスクをしている。 「おしゃれだな あいかわらず思わせぶりアピールしてるし」 「マスクの内を見てみたいよな 見れる彼氏って羨ましいよな なあ」 「あゝ」 「ずっとそう思わせてるふりでいい…」と俺は思う。 なぜなら俺の彼女だから。その方が魅力的で居てくれるから。 でも、そのくちばしの中身を知ってるのは俺だけだから… 「ずっとそのまま思わせぶりでいいのに…」 そんな彼女の素性をバラス一言を喋らないよう目線で釘を刺す、いつも彼女はカウンター越しに熱い眼差しを刺す。
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