第一章〜 儚い少女〜

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ヤダ。ヤダ。ここから、出して。もうヤダよ。寒い時になったら、奥様にお家の一番上の暗いところに連れて行かれるの。 寒いのが3回目までは奥様も優しかった。 それがこれできっと、14回目だと思う。今も、前も、その前も、寒いのが終わる時にお家に入るの。 奥様はね。奥様は、私を産んだんだって。産んだってどういう事って思って聞いたら、「そんなこともわからないの?!ホント出来損ないね、あんたは。」って怒られちゃったけど、教えてくれた。 産むっていうのは、私がお腹の中で作られるから、それを取り出すんだって。私を作ってくれたのは奥様だから、ぜったいふくじゅ?なんだって。 奥様はね、痛いことしてくるけど赤い血が出たり体が青くなるようなことはしないんだ。 なんかビリビリする四角い何かで攻撃してくるんだよ。私、ちゃんとご飯も食べていなくて、チカラが少なくて立つこともできないから奥様にされるがままなの。 奥様はどうして見えない傷を作るの?って聞いてみたら、 「そんなの簡単なことよ。万が一誰かに見られたら私捕まるんだし。」 だって。 奥様って呼んでる理由は、産んでくれた人にはそう呼ばなくちゃいけないからなんだって。 ご飯は、一日一回痛いご飯を持ってくるの。まずね、お腹が痛くなるの。その後に、喉が痛くなって、あと頭も。 でも食べないと私が死んで奥様のストレス発散っていうのに使えなくなるんだって。 あのね、死ぬっていうことは消えてなくなっちゃうことなんだって。だからね、私死にたいの。 もう痛いのも苦しいのも、全部全部嫌なの。だからもう消えたちゃうほうが楽なんだって思ったんだ。 でもね、死ぬためにご飯を食べないようにしたら、奥様が無理やり食べさせてビリビリする四角いので攻撃してくるの。 もし死ねないなら誰かに気づいてもらって私、ここから出たいの。ねぇ、誰か私に気づいてよ。 歩くことも、大きな声を出したりすることもできないから助けてくれる様な優しい人でも私に気づかないの。私は最初っからいなかったんじゃないかな。だって、最初はいないところから、作られたんでしょ?それって最初からいなかったってことと一緒だよね。 嫌だ、出して。ここから出してよぉ… 誰か私を殺してよぉ……
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