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その時、突然奥さまの叫び声が聞こえた。
「きゃー!」
どうしたんだろう?まぁいっか、苦しんでるのかな。私を苦しめてきたんだから自分も苦しいんだらいいんだ。
その時、知らない男の人の声がした。
「あれ、ここ屋根裏部屋あるじゃん。」
怖いよ。何しに来たの?そう思ったけど、これから殺されるのかな。って思えば、少し気が楽になった。
こんなに苦しんで死にたいって思っているのは私だけなのかな。それとも、みんなこんな生活を我慢しておとなになって自由をもらってるとか?
もう、何もわかんないや。さあ、私を殺しに来て。そうじゃなければあなたも
――苦しんで。
そしてこの部屋の入口が開いた。私、知ってるよ。こうやって許されてないのに勝手に家に入ってくるのは、ふほーしんにゅうっていうんだよ。警察っていう悪い人を捕まえる人に捕まっちゃうんだよ。
でも奥様が、「あなたが大声で泣いたりしたら、あたし警察に捕まるから絶対泣き叫んだりするなよ。もしそんな事があれば…」って言ってたから奥様も悪い事してるのかな。
「お?子供がいるじゃん。あの女が浮気女ってことで復讐してやろうかと思ったんだけど、あの人未婚だったよね…?」
この人は悪い人、だよね。お母さんに怒ってきたの?なら、お母さんを苦しめてよ。
「関係ない子供は巻き込みたくないしなぁ。そだ、あいつに渡そう。あいつ、独り身だから寂しい思いしてるだろうし。ねぇ、そこの君。」
長いこと喋ってないから、とても小さな声しか出なかった。
「ぁぃ。」
返事をすると、男の人はすごく驚いたような顔をした。
「君…いつからここにいるの?」
「ここに?…夜が二十回ぐらい過ぎた。」
話せるようになってきた。のどが痛いけど。
「っ…!大丈夫なの?」
「ぅん。寒いのが三回来るぐらいまではここじゃなかったけど、十四回はここに入れられてた。」
「こんなとこで、体持つものなの?というか、この子、十七歳なの?ありえないねぇ…。」
ほんとにどうして私生きてたんだろう。寒くて死んだら良かったのに。
「死のぅとして餌食べなかったら、しぉきされるから。」
「ほんとに大丈夫か?教育もされてなさそうな…しかし、十七と言ったらアイツと同い年じゃん。面白そう。」
「ねぇ、私を殺しに来てくれたろぉ?」
その人は更に驚いたような顔をした。驚くことないじゃん。死にたいなんて誰もが思うことでしょう?だから殺してっていってるのに。
「そんな事するわけないよ。ところで、き――」
「どうして?私を苦しめるため?そんなのひどいよ。」
やっぱり私っていらないんだ。そう思えば、更に死にたいって思えてきた。
「逆だよ。苦しめたくないから殺さないんだよ。僕はただ、君が幸せに暮らせる新しい居場所をあげようと思っているだけ。」
「しぁわせ?新しい、ぃばしょ?幸せって何?」
「そっか。幸せの意味も知らないんだね。簡単に言ったら、苦しいの真逆だよ。」
苦しいの反対?もう、苦しくない?この人にそんな事ができるの?悪い人もいいこと、できるの?
「おにぃさん奥様と付き合ってたの?見る目ないぇ。」
「違う、違う。僕じゃないよ、僕のお友達。君のお母さん見た目だけはいいから。君はお母さんと似ても似つかないね、どうしてだろう。」
似ても似つかない?どういう意味なのかな。それに…
「お母さんって、だぇ?奥様のことしか知らない。」
「…?あぁ、君が言う奥様の事だよ。」
「奥様の他に言い方があるの?」
びっくり。初めて知った。
「ところでお兄さん。お兄さんはなんて呼ばれているの?奥様は、名前っていうのがあるらしいけど。」
「まさか、君は名前を持っていないの?僕の名前はね――」
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