腕のいい占い師

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「あの人が今どうしているかも、見えますか……?」  青白い顔で問われ、占い師は一瞬言葉に詰まった。  わかるわけがない、そんなもの。  自分の家庭でぬくぬくと風呂にでも入っている時間だろうが、そう答えるわけにはいかない。  時間稼ぎに水晶玉に手をかざし、あたかもそこに映っているかのように覗き込んでから安心させるように微笑む。 「離れてはいるけど、彼も、あなたのことを誰よりも想っていますよ」  根拠などなくていい、獲物が満足すればそれでいいのだから。  しかし、女性は絶望したような表情になり、緩く首を振った。  黒い絹糸のような艶のある髪が、白い頬に纏わりつく。 「そんな。そんなはず、ない」  あぁ、別れ話の後だったか。  それが憔悴の理由かと思ったとき、女性が血の気のない唇からぽつりと低い声を吐いた。 「――とどめは刺したはずなのに」
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