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積木の世界
ある日突然、地球は灼熱の惑星になった。
それは、温暖化なんて生ぬるいものではない。一年に僅かずつ上昇する程度だった気温が、ほんの数か月の間に何十度も一気に上がったのである。
何が起きるかなど、改めて説明するまでもない。人々の生活は一気におかしくなった。夏場は、到底外で生活することができない。冬場であっても熱中症に悩まされる国が大半。
否、それだけならまだどうにかなったかもしれないが、最悪なのは南極の氷の多くが一気に溶けだしたり、大量の真水が干上がったことだろう。水不足になる国と、逆に大量の水に短期間で水没した国。世界は、あっという間に大混乱を極めたのだった。
「一体何が起きたのか!」
A国の大総統は、環境問題について詳しい者達を次々と呼びだした。
他の国同様、戦争を繰り返し、奪い取った土地を吸収して人々を喰い潰しながら大きくなった大国である。つい一年前も、大きな戦争をして、多大な犠牲の果てに豊富な資源を持つ国を奪い取ったばかりだった。
「このままでは、我が国の水資源も干上がってしまう!海に近い国々が水没することなんかどうでもいい、でも、我が国だけは救わなければならない。わかるな!?」
「は、はい……ですが」
「ですが!?」
「……私達がいくら追及しても、原因がまったくわからないのです」
大総統の政治を、皆がよくわかっているはずだった。この国をここまで大きくした手腕もさることながら、それ以上に自分が皆に恐れられていることを大総統はよく分かっている。何故なら、自分に逆らう者や気に食わない者は皆容赦なく処刑してきたからだ。正しい政治をすることは、邪魔者を残さず排除して恐怖で民の心を支配することだと大総統は知っていた。それが、先代大総統の自分の父や先々代の祖父がしてきたことだからである。
少し前には、禁止されている隣国の音楽を聴いたスケート選手の少女を、両手足を引きちぎって処刑しその様子をテレビに流した。
その前には、他国に亡命しようとしていた一家全員をはりつけにして、マシンガンの前に立たせて粉微塵にした。
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