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―――卒業生代表 答辞
すらりと背が高く、かっちりとした制服の着こなし。
どこから見ても非の打ちどころなく見えるのは、彼がそんな星の下に生まれたからなのか…、はたまた、私の幻覚なのか…。
先程、私が作り出したざわつきを一切断ち切るかのように凛とした空気をもって壇上に上がった彼は、手元の原稿を悠然と読みすすめる。
しかし、彼の視線の先は常に私達。
あの人、原稿見てないんじゃ…?
そんな疑問が浮かぶほど、それは優雅で、抑揚、発声ともに完璧だった。
このすべてにおいて泰然とした態度で慣れた振る舞いの彼こそ、我らが誇る完全無欠の前生徒会長。
見納めになるその姿は、今日も麗しく清らかだ。
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