他人に興味なさそう

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―――――――…… 『橘 沙都。………たちばな さと?……橘?いないのか?』 「―――ッはい!!」 生徒会室前の廊下。部屋の中から聞こえた名前に反応して、引き戸になっている扉を勢いよく開ける。 その、教室の半分くらいの空間にいた10名ほどの視線が私へと突き刺さった。 頭が真っ白になって棒立ちの私に近付いてきたのは、先程、黒板の前で私の名前を呼んでいた長身の彼。 おそらく彼が今期の生徒会長だと思う。 つい先日の選挙会で素晴らしい演説を終えた彼は、生徒と先生の間で抜群の人気と評価だったから。 そんな彼がピリリとした緊張感をもって、目の前に立つ。 漆黒の前髪が掛かる黒いフレームの眼鏡の奥の双眼が私を見据える。 『開始時間はとっくに過ぎているんだが?』 「……すみません。遅れました」 『遅れた理由は?』 HRを終えた後、友達との会話に花が咲いてついつい話し込んでしまった。 ―――それが遅れた理由。 だけど、そんなことをここで正直に言う勇気はない。 「担任の先生に呼ばれていまして…」 『え?俺、呼んだっけ?』 馴染みの声に振り向けば、窓際、前から3列目に“ 担任の先生 ” 。 顧問だなんて聞いてないよ。 どちらにしても、終わった…。 何を言われるのかと思い、私の前に立つ彼を恐る恐る見上げたが、軽く溜め息を一つ零しただけで、 『はやく座れ。始めるぞ』 澄ました顔であっさりと私を解放し、その日の議題へと移ったのだった。 静かで怖い。 他人に興味なさそう。 ―――それが、彼の第一印象
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