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うりうりと私の顔を捏ね繰り回す聡人の手を叩き落として、垂れ流れていた顔の涙や鼻水をティッシュで拭う。壁の時計を見れば、もう21時で、かなり寝ていたんだと驚愕した。
ご飯作っていないと慌てれば、デリバリーにしようぜと出前アプリでピザ屋を表示して渡してきた。
「真帆ちゃん。俺、プルコギピザ食べたいんだけど、真帆ちゃんは?」
「・・・シーフード増し増しなら何でもいい。」
「了解。」
スマホをタップしている聡人にしがみ付いて胸に顔を押し付ける。頭を撫ぜる優しい手に、また何故か涙が出るから本当に情緒不安定だと笑った聡人の指が頬を拭った。
心底聡人がパートナーでよかったと思う。こんなに安心できる人、きっと二人としていないだろう。
「ありがとう」
そう呟いて重く腫れあがった瞼を閉じてその体温に身をゆだねた。額に唇が落とされたような気がしたけれど、私はもう夢の中に落ちている真っ最中で、ピザが届いたときには覚えていなかった。
--------------another01. Final again
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