chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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   先ほどの電話によってこれから上京した時に居酒屋で知り合ってから6年の付き合いになる親友、深山望美(みやまのぞみ)が来るらしい。 当時知り合ったのは、カウンターで日本酒を浴びるように飲んでいた望美の席をひとつ開けた席で馬刺しを食べていたら突然絡んできたのだ。 その日は愚痴を延々と聞かされ無理矢理連絡先を交換させられアルハラに近いことを言われ飲まされた。 第一印象は呑んだくれのヤバい子で絶対連絡来ても関わらないようにしようとしていたのだが、次の日にお詫びしたいとメッセージが入っていて無視をするのも何故か悪い気がしてOKをだした。待ち合わせをしたカフェで二日酔いの真っ白な顔をして深々と頭を下げられた。 シラフではかなり元気なサバサバ系で嫌なことは酒を飲んで忘れるタイプらしい。そして切り替えも早い。ただその時に飲むと酒癖が途端に酷くなりそれ以外だと絶対に酔わないとの事。私は怒ってないし大丈夫だと伝えると彼女は安堵した表情を見せた。 帰り際、お詫びの品として彼女の働くショップのワンピースをプレゼントしてくれた。 そこからちょくちょく連絡を取り合って遊ぶようになり早6年。一緒にいてとても楽しいしこっちまでニコニコできることも多くてお互いに気兼ねなく会って遊ぶ仲。     望美はよく彼氏ができる。いわゆる優男に弱い。彼氏ができた!って喜んで私に紹介してきては結婚したい!と言っているが、紹介した日に私に言い寄ってくる男もいたりしてロクな男と付き合ってこなかった。  そんな望美もここ1年、ずっと交際を続けている彼氏がいる。名前は 曽山勉(さやままなぶ)。身長は170cm程で短髪黒髪のたれ目で優しそうな顔をした男性で、何度か望美と一緒の時にお話ししたことがあったが普通にいい人だった。   先程の電話越しの声は少し枯れていた気がした。なーんかあったかな?    イラストを別の名前で保存してパソコンをスリープにしてキッチンに行きポットにお湯を沸かして作り置きのクッキーを取り出す。エアコンの温度を少し下げて紅茶の用意し、望美が来るのを待った。 --------------------------- -----------------  11時過ぎ。  ピンポンピンポンピンポーン 独特なインターフォンの鳴らし方でやってきた望美は泣いてはいなかったが瞼が赤く腫れていて目が開いてないんじゃないかと思うほどだった。  望美の外見は栗色で前髪を右に寄せてセミロングの髪をふわっふわに巻いた金髪、猫目でピンクのリップがよく似合う149cmと超絶小柄のギャル。  なのに超熱の熱燗と刺身が好きで見た目に反しておっさんが好むような食べ物が好きだからよく身分確認をされたり職質という名の補導をされていた。 「そんな泣きはらした顔してどしたの!?何があった?」 「・・・彼氏が私のショップの契約社員の新人と浮気した。」  なんだって? 「あの優しくて望美がめっちゃ好きー!って言ってたあの彼が浮気?」 「そう。」 「なんでわかった?」 「 ショップのバックヤードの休憩スペースでヤッてる現場を直接見た。」 「・・・わぁ・・。」 「閉店後に忘れ物したのに気づいて取りに行ったら真っ最中でさ、 手に持ってたスマホで思わず写メ連射しちゃったよね。」  そんな場面に出くわしても思わず証拠写メを撮るとか流石親友。 「・・・気づかれなかったの?」 「気づかれたよ。しかもその新人、悪びれるどころか彼氏の腕に抱き着いて勝ち誇ったように笑って、あれぇ?先輩?どぉしたんですかぁ?忘れ物?って。  彼も彼で開き直って魅力を感じなくなったから悪いってどや顔で言ってきてさ・・・。」 ・・・・わぁ、ドン引き!  
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