chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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 望美が眠ってからベランダでぼーっと煙草を吸う。    なんか、すごいことになってるな・・・。あの彼氏がそんなことするとは・・・。いつも見せていたあの笑顔や女慣れしてなさそうな態度は演技だったのだろうか? わからん。   ふと隣のベランダに視線を向ける。あの寝ぼけて襲われそうになった日のことを思い出す。 今でも恥ずかしくて顔が熱くなる。  あの時はびっくりしたなぁ。男の人の体ってあんなに大きくて熱いんだなあ。  下腹部がきゅっとなる気がしてはっと我に返って首を振る。   これじゃ、期待したみたいじゃん・・・私も変態みたいだ。  邪念を消すように煙草の煙を勢いよく吐き出し火を消してベランダを出た。 ------------------------------------ ----------------------  あれから小1時間は静かにテーブルで仕事をしていた。パソコンはデスクトップで動かせないのでタブレットで。  イラストの仕事がまだ7件程残っており、納期がそれぞれバラバラ。今はとある地ビールのパッケージに使うからとキャラクターとかではなく藤の花を使用したデザインイラストを作成している。ビール苦くて飲めないから試供品貰うのは断ったけど。  ピンポーン  インターフォンが鳴りモニターを確認すると、あれから来ていなかった聡人が映っていた。 「いらっしゃい。ごめんね、今日友達来てて上げられないの。」 「別に、飯食いに来たわけじゃねえから。」 「そうなの?」 「この間の詫び。」 「ぁ、いや、べ、つにもういいよ。気にしてない。」 「・・・これやる」 「?これ・・。」  そっぽを向いて大き目の紙袋を手渡してきたので中を見ると、煙草が1カートンと化粧品の箱がいくつも入っていた。 「なにこれ!めっちゃ入ってるじゃん。」 「約束してたしな。」 「いや、煙草1カートンしか言ってないよ。この化粧品類デパコスのやつじゃん! なんでこんなに?」 「んだよ。折角お前に合うと思って持ってきたのにいらねーの?」 「・・・・いる。ありがと。」 「ん」  こんなプレゼントしてくれると思ってなかったけど素直に嬉しい。    袋の中を見ながら「あ、香水も入ってるー。」とニマニマしてるとふっと笑うような声が聞こえ頭に聡人の手がポンポンと撫でた。    て顔をあげると優しく笑って「じゃな。」と隣の部屋に帰っていった。   フリーズすること数秒。ボンッと音が鳴るくらい顔が熱くなって、私は、この胸の高鳴りをしばらく止めることが出来ずにいた。  部屋に戻って聡人からもらった化粧品を広げてみると、水色とクリスタルのようなラメのアイシャドウ、ハイライトにリキッドファンデーション。オレンジ系のリップとルージュ、ラベンダーの香りのハンドクリームと青い綺麗なボトルの香水が入っていた。  香水はゼラニウムのような安心するハーブの香りがした。
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