chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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「寝すぎちゃった。」 「おはよう。カフェオレ、望美も飲む?」 「うん。ほしい。」  カフェオレを飲みながら仕事をしていると、望美が寝室から顔を出した。時計を見ると15時を過ぎており、来た時よりも幾分顔色がよくなっていて安心した。  カフェオレを手渡すとありがとうと受け取りまだ少し寝ぼけているのか掘りごたつでぼーっとカップに口をつける。 「少しはすっきりした?」 「めっちゃすっきりした!」 「そっか、よかった。めっちゃ顔色悪かったから心配しちゃった。」 「心配してくれてありがとう。 あのさ、これから職場に電話するけど、いい?」 「いいよ。煙草吸ってるから電話しな?何かあったら呼んでね。」 「うん!」    そう会話をして煙草をくわえてベランダに出る。火をつけたところで部屋の中から電話をする望美の声が聞こえる。     「お疲れ様です、深山です。  実は折り入ってお話したいことがありまして・・・はい。    新人の小川夏美さんのことで・・はい。」  煙草を咥えながらベンチに腰掛け空を見上げる。今日は晴れ。心配したけど、さっき見た望美の瞳は闘志で燃えているような気がして少しほっとした。 「昨日、閉店後に忘れ物を取りに行った際に彼女が部外者の男とバックヤードで性行為をしているところを目撃しました・・・はい・・・はい。そうです。証拠も押さえてその場は二人を追い出し私が施錠して帰宅しました。」  自分の店でそんな事されてたらたまったもんじゃないよね。 「オーナー、バックヤードにはお客様の個人情報やお店の売上金などがあります。金庫に入れているとはいえ今回の夏美さんの行為はお店の信頼にも影響が出ます。なので厳重な処罰を求めます。  ・・はい・・はい・・・では明日改めてお話いたします。・・はい。失礼します。」  望美の電話が終わったタイミングで部屋に戻る。こちらを向いた望美はにっこりと笑って「やってやるぜ!」って拳を握って天井に向かってびしっと伸ばした。
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