chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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 ふてくされる望美を置いて再びベランダに出て煙草を吸う。今日は晴れてるけどじめじめしてるなぁとしみじみ思っていると隣のベランダが開く音がした。 「よ。」 「おっすー。」  相変わらずぶっきらぼうな彼にふはっと笑いがこみ上げ煙と一緒に吐き出す。 「友達って女?」 「そうだよー。私に男の友達なんていないよ。」 「だろーな。」  「うっさいわ。」と返すと小さく笑う声がした。ベランダの仕切り越しにいるから顔が見れないのがもどかしい。  こんな会話だけでも楽しいと思えるのは聡人のことを結構気に入っているからなのだろう。 「一人でもちゃんとご飯食べてね。」 「ん。」  「じゃね。」  小さくなった煙草の火を消してベランダを出ると。望美は私の顔を見てキョトンとした顔をしていた。 「なに?」 「・・・今誰と話してたの?」 「今?ああ、お隣さん。」 「お隣さん?男?」 「そう。少し前に玄関前で倒れてるところを助けて知り合ったの。」 「なにそれ、それから仲良し?」 「なにさ、仲良しって」  望美の目が好奇心で光っている。知りたいって顔にも書いてある。気がする。 「さっきの会話少し聞こえてたけど、一緒にご飯とか食べてるわけ?」 「・・・・時々。」 「付き合ってんの?」 「付き合ってないよ。」 「夜ごはんも一緒に食べたりしてるの?」 「・・・まぁ。」 「雨の中倒れてるお隣の男助けて、それからずっと一緒にご飯を食べたりする中? なにそれなんていう漫画?  そんで夜にこの部屋で二人でご飯食べてんなんもないの?」 「なんも、とは」 「エッチとかは?」 「は!?ないない!!何言ってんの!?」 身を乗り出してぐいぐい来る望美に慌てて返すも怪訝な顔をされる。解せぬ。 「えー?男女が同じ部屋で夜な夜なご飯食べて終わりなの?本気で言ってる?」 「言ってる。」 「とか言って、押し倒されたりキスくらいはあったりしてー。」  望美がそういった瞬間、ここでの出来事がフラッシュバックして顔が赤くなる感じがして上ずった声が出てしまった。 「ないから!!ないない!なにもない!」 ・・・か、顔が熱い。 「その反応はやっぱりなんかあったのね!?押し倒された!?胸もまれた!?どこまでした!?」 「うるさい。それ以上言うと追い出すよ。」 「ごめんなさい。」  追い出すと真顔で言うと速攻で頭を下げる望美に思わず笑った。
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