chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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「元々、彼が半年前くらいに引っ越して来たときに挨拶しに来てその時初めてあったんだよ。」 「あー、あんたここに住んで長いもんね。何年?」 頭の中で思い出しながら指折り数える。 「んーと、4年くらい。」 「なんか1年前くらいはめっちゃ隣がうるさいって言ったよね。」 「そうそう、それでその人が最近静かだなーって思ってたらいつの間にか引っ越しててさ。 その後に来たのが彼だよ。 すれ違えば挨拶はするし、前はごみ捨ての場所とか聞かれたこともあったよ。」 「そうだったんだー。管理会社の人には聞かないんだ。」 「管理会社の人がわからないことは私に聞けって言ったらしいよ。もうここに住んで長いから私共よりも理解しているとか言ったらしい。」 「なにその管理会社。やば。」    そうなんです。私は2年くらい住んだ後から管理会社からいろんなことを任されるようになった。 新しく入居が決まった人が希望すれば自治会やゴミ捨て場のルールなどこのアパートでのお困りごと等を教えてあげてくれといつだか連絡が来て、断ったものの押しに押されてそのような立場になったのだ。  女だっていうのにそういう配慮がない管理会社にイラっともしたがこのアパートは私にとってオアシスそのもので、屋根付き駐車場があり、スーパーやコンビニが近くて何か体に不調があれば目の前の病院に行けば何とかなる。 そして何よりここはDIYなどしても何も言われないし、家賃が安く黒光りするヤツも出ない。おまけに都市ガス。  見つけたときは即決した。一応内見もして角部屋だってこともあり結構のびのびできるのだ。 「まあ、今のところなんの問題もないしねぇ。今は満室だから新しいのが来ることもないし?」 「そっかー。で?お隣さんの見た目は?」 「んーと、180cmくらいの釣り目君。あと口悪くてぶっきらぼうな感じ?」 「イケメン?」 「イケメンだと思うよ?あと、喉元がめっちゃセクシー。」 「は?喉?」 「いや、何でもない。とりあえずいい人だよ。」 「あ、流した!」    望美とはその後晩御飯を食べてゲームで大乱闘して一緒のベッドで寝た。 翌朝、望美は 「昨日はありがと。あの新人とアホ勉のことはまた追って連絡する。今度一緒に服買いにショッピング行こうね!  真帆もお隣さんの事何か進展あったら聞かせてね!じゃ!」 と言って帰っていった。    一人になって部屋で食器を片付けてベランダに出て煙草を吸う。    あの日、雨の中落としたスマホは結局治らなかった。データなどはバックアップがあり、クラウドにも保存されているため難は逃れたがそれでも使いやすかったものだったから切なかった。まあ、中のSIMカードとSDカードが無事だったからそれだけでも御の字。  買い換えたスマホを取り出しメールをチェックしているとピコン!と聡人からメッセージが入った。 ≪友達帰ったのか?≫ ≪うん。帰ったよ。今日仕事でしょ?≫ ≪ああ。≫ ≪頑張ってね。≫ ≪夜行く。≫ ≪おっけー≫  そこでメッセージはストップし、今日来るのかぁ。と空に昇る煙草の煙を眺めた。
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