chapter01. お隣さんをたすけました。

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 東京23区の外側、中央線に乗った先の駅から15分歩くと3階建てのアパートがあり、そこの301号室の角部屋。  そこが私、大野真帆(おおの まほ)の城。  北海道から20歳で上京して、フリーランスのイラストレーター兼アニメーション動画クリエイターとして某動画投稿サイトで生計を立ててる現在26歳。 両親は既に他界していて、兄弟は上に姉がいるがとっても仲が悪いため私から一方的に絶縁状態。  毎日のルーティーンは朝6時起床、朝食を食べ、仕事、11時30分頃スーパーに行き昼食、仕事、夕食、シャワーやら肌手入れやらを済ませ就寝の流れを意識的に守っている。  身長は155cm、靴のサイズは22.5。地毛が少し茶色い腰までのロングストレートだけど家以外では基本、Uピンで夜会巻きでまとめている。  ユニ〇の黒のカットソーを家でも外でも仕事でも愛用していてスウェットかパンツスーツ、それかスキニーデニムのどれかになるだけがデフォ。 それが私。   現在11時20分。  早めに仕事が一段落ついたからスーパーで今日と明日の朝の食材と煙草を購入し土砂降りの雨の中を傘をさして帰宅中。  アパートの階段を上がり鍵をショルダーバッグから取り出し顔を上げると玄関の前に180cmの男性がずぶ濡れで倒れていた。 「え?・・・え!?」  一瞬状況が理解できず呆然としたがすぐに我に返り傘を折りたたんでその人の元へ駆け寄った。 「大丈夫ですか!?救急車呼びましょうか・・・ってお隣さんじゃないですか? 返事できますかー?」 「・・・・・むい」 「え?」 「・・・・寒い・・・・・」 「・・・寒い?ほかに痛い所とか苦しい所とかありますか?」 「・・頭痛ぇ・・・」 「今、救急車呼びますからねー。頑張ってくださ・・・!?」  スマホで119番に電話しようと番号タップしていたら腕をつかまれスマホが地面にガシャンと音を立てて落ちた。  びっくりしてお隣さんの顔をみるとうっすら目を開けて眉間に皺を寄せていた。 「・・救急車は呼ぶな・・・・」 「・・・は?・・ぇ、なに、ちょっと!」  地面にぐしゃっと音がしそうな落ち方をしたお隣さんは私の腕を握ったままその場に崩れ落ちた。しばらくの沈黙の後お隣さんの手を外そうとしたけどおもいっきり握られていて外れない。ていうか握られてる腕が痛い。  どうしようかと考え、とりあえず落としたスマホを拾い上げると画面から落ちたため保護フィルムはバリバリになっていてお隣さんの作った水たまりで濡れて電源がつかなくなっていた。  まじかよ。最っ悪だ。今日は厄日か?  泣きそうになりイラっともしたが目の前にいるのは病人である。 溜息を大きくつき、涙目でお隣さんの濡れたおでこをハンカチで拭き私のおでこと彼のおでこを「すんません」と謝ってからくっつけると・・・・ あっつ・・・。 ・・・しかも仄かににお酒の匂いもあり飲み会か何かの帰りか?  
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