chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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 19時にインターフォンが鳴り聡人が来た。  手にはチョコレートを持っていて手渡してきた。 「え、くれるの?」 「じゃなきゃ渡さねぇよ。」 「ありがとう!  ごはん出来てるよ。食べる?」 「食う。」    こたつに座る聡人に「今日はハンバーグだよー」なんて言って食卓に並べていく。  聡人が来るようになってから専用の食器を購入したりして食器棚がパンパンになった気がするなーなんて思いながら、白米やコンソメスープ、大根サラダを並べた。 「いただきまーす。」 「まーす。」  二人で手を合わせてから食べ始める。  いつものように次から次へと口に運ぶから、よく食べるなぁと感心して聡人を見ていると そんな私に気づいたらしく「なに」と視線だけよこしてくる。 「よく食べるねって思って。」 「仕事してきて腹減ってるからな。」  そう言うとすぐにごはんに集中する聡人にならって私も箸をすすめた。  無言で食べ進める聡人と私。あっという間に完食し食後のお茶を飲みながら聡人を改めて観察してみる。骨ばった手、出っ張った喉元、首筋のライン。綺麗な形の鎖骨。筋張った顎のライン、少し癖っ毛の入った少し長めのツーブロック、釣り目だけどつぶらな瞳。・・・・すっごいモテそうね。顔よりもデコルテばかり見ちゃうけど。    じろじろ見ていると眉間に皺がより睨んできた。 「何。」 「え、いや、モテそうなお顔してるなぁと思って?」 「惚れた?」 「ないない。自意識過剰すぎでしょ。」 「・・・かわいくねぇ奴。」 ・・・ちょっと見てただけじゃん。なんで喧嘩吹っ掛けてくるのさ。ムッとして睨むとツーンとそっぽを向くから 「子供かっ」 っと突っ込みをいれて立ち上がり煙草を吸いにベランダへ。 「お前吸いすぎじゃね?体壊すぞ。」 「1日5本いかないくらいだしまだマシでしょ。私の娯楽用品なんだし。」 「煙草吸う女からモテねんじゃねえの?」 「いや、煙草以前に引きこもりだからモテないだけだし。  そもそもモテる気もないから。 迷惑にならないように外では絶対吸わないし、なんなら税金沢山払ってるんだから誉めてほしいくらいだわ。」   煙草に火をつけベンチに座り、亀の形をした灰皿の灰を煙草処理用のバケツに放りこむ。  お茶を飲み終わったらしい聡人がテレビの前まで移動しテレビゲームをつけてコントローラーをテレビ台から取り出したのでまた彼を眺めた。
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