chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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 火を消して部屋に戻り煙草とライターを小物入れに戻し、ゲームをする聡人の横に座り画面を眺める。    聡人がやっているゲームはいわゆるソウル系で超難しいけど人気のゲーム。私は買ったはいいけど途中で断念してそのまま放置してたものである。  まだ序盤だけど聡人は上手いなあって思う。とりあえず相手の攻撃はじくのとかよけるのとか。私はビビりだからびっくりすると思考が追い付かなくて操作できなくなってしまう。  まあ、正直なところゲームは人のを見てるほうが好きっていう。 なのに面白いといわれたゲームは一通り買うからどんどん増えていくという悪循環。  ようやくプレイしてくれる人ができたぞ。よかったなゲームよ。 「そういえばお前、昨日の友達とは楽しめたのか?」 「後半はめっちゃ楽しかったよ。前半は彼女にいろいろあって愚痴大会だったし。」 「ふーん。」  なんだろう。聞いてきたくせに。 「何か気になることでも?」 「いや、別に。」 「そ。」 「おう。」  わらわら来る敵を倒しながら声をかけてくる聡人を横目で見る。 本当に何だろう。まあ、いいや。気にしても仕方ないだろう。本人が喋らないんだし。   私は立ち上がって冷蔵庫に向かいカップのヨーグルトとスプーンを持ってまた元の場所に座り蓋を開けて食べ始める。 するとじっとゲームの手を止めてヨーグルトを見てくる聡人。 「食べる?」 「食う。」  スプーンですくって聡人の口元に差し出す。 「はい、あーん。」 「ん。」  一口食べたら画面に向き直って再びプレイを始めた聡人の隣で残りのヨーグルトを食べながらゲーム画面に私も向きなおるのだった。
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