chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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翌朝、お出かけ用の衣装棚からユニ〇の黒い七分丈のカットソーとスキニージーンズに着替え、メイクをして聡人がくれた化粧品の中に入っていたコロンとジェルを付けシンプルなデザインのミュールを履いて出かけた。    駅まで行き電車に乗り、原宿を目指す。梅雨が明けたらしいがそれでもまだ雨を持った空にじめじめしたこの環境はいつまでたっても慣れない。   今日は平日のため14時30分のこの時間はそこまで混んではいないが少なくもない。邪魔にならないようにと真ん中のほうのつり革につかまり景色を眺める。  6月になってから周りの環境がが少し変わったなと思う。    聡人を介抱してからよく家に来る。いつも一人で人と接するのは仕事の時か望美といる時だけで、それ以外は皆無と言っていいレベルだった。 最近はそこに聡人が加わった。聡人とは彼が引っ越してきたときに挨拶したりすれ違ったときに会釈するくらいの関係だったのが今では仲良くご飯を食べてる。別に気も使わないし、なんなら美味しくご飯を食べてくれるのが結構嬉しいと思う毎日。 ・・・不思議だ。人生ってなにがあるかわかんないなぁ。    電車を乗り換えて原宿に向かい大通り沿いのお洒落なショップに入りお目当ての人物を見つけ声をかけた。 「望美ぃ、きたよー。」 「真帆!いらっしゃい!来てくれて嬉しい!」  品だしをしていた彼女に声をかけるとパァっと明るくなって仕事の手を止めようとするので仕事優先してと手で制止する。 「混んでるんだから仕事して。終わったらそこのカフェにいるから連絡頂戴。」 「はーい。」    しぶしぶ仕事に戻る望美を見送って、このショップと道路を挟んだ向こう側にあるカフェに入りカフェラテとサンドイッチを注文して窓際の席に座る。  タブレットを取り出し暇つぶしにイラストを描く。カフェから見える望美のお店は結構繁盛していて忙しそうだなとタブレットに目線を戻した。  
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