chapter02. 親友の愚痴を聞きました。

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  作業をして30分程した時、スマホが振動して画面を確認してクライアントの小林さんからだったので電話に出る。 「お世話になっております。 大野です。」 「お世話になっております。先生! 先日はありがとうございました!先生のイラストはとても評判良くてイベントも大成功でした!   動画の再生数もダブルミリオン超えましたし!」 「ありがとうございます。喜んで頂けたならこちらとしても感無量です。」 「それでですね、先生! 先生を交えたイベントとかってやっぱりやりたくないですか?」 は?なんで私も交えたイベント? 契約の時に何度も顔出ししないって行ったし念押ししたじゃん。 「契約事項に記載した通りです。今の世の中何があるか誰が見てるか分かりません。だから身バレはしたくないんです。そのためのペンネームですし。」 「えぇー何度もお伝えしてると思うんですがもったいないと思うんですよ! 絶対今よりも人気になりますよ?」 「何度もお断りさせていただいてますよね。仮に顔出しをした後、ネットで拡散されてプライベートにまで踏み込まれたらストレスで禿げます。 目先のことではなく、後のことを考えて顔出しをしないとしているので大変申し訳ございませんが無理です。」 「はぁ、わかりました。この度の契約金の振り込みは来週の水曜日になりますのでよろしくお願いします!」 「かしこまりました。それでは失礼いたします。」  はぁってなんやねん。ため息つきたいのは私なんですけど。なんで身バレNGっていってるのにいつも持ち掛けてくるんだろう。ほんとに迷惑だ。 今の時代ネットにすぐ拡散されるから何が起こるかわからない。特定班を侮ってはいけない。  いくら個人情報といってもネットの住人はそんなの聞き入れちゃくれない。だから慎重にしないと私じゃキャパオーバーしてしまう。 契約の際に私が提示した個人情報保護の同意書と契約書と規約書に印鑑とサインをしてもらったと思っているんだ。  小林さんは悪い人ではないのだろうけど、ああやって契約内容を忘れて顔出しを提案してくる所だけは好きになれない。 -はぁとため息をいて目頭を軽く揉んでいるとスッと影ができた。顔を上げると窓の外にはムスッとした顔の  「聡人?」  ともう一人知らない男性がスーツ姿で私を見下ろしていた。
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