chapter01. お隣さんをたすけました。

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「ご自分で食べられそうですか?」 「・・・・」  しゃべるのもしんどいのだろう、ぼーっと斜め下を見つめるお隣さん。  返事がない。だたの病人のようだ・・。   阿呆なことを頭の隅で考えつつ蓮華で少量すくい、ふーっと息を吹きかけ少し覚まし口元へ持っていく。 「はい。口開けてください。御飯ですよー。 あーん。」 「・・・ん、」  声をかけると小さく声を漏らし蓮華を口の中に入れ食べてくれた。咀嚼をして飲み込んだお隣さんは先ほどよりも少し目を開いて「・・・うまい」と小さくこぼした。  少し嬉しくてニヤけそうになるのをこらえて雑炊をすくって持っていくとお隣さんはなんの躊躇もなく口に入れた。 ------------------------------------------  あっという間に食べ終わり薬を飲ませて冷えピタを変えて再びベッドに寝かせるとまたすぐに眠ってしまったお隣さんを見届けて土鍋と茶碗をキッチンで洗い、ローテーブルを元の場所へ戻し洗濯機の中の洗濯物を干す。  玄関の濡れた靴を301号室から古い新聞を持ってきて風呂場に敷き靴を立てかけ丸めた新聞紙を靴の中につっこんだ。換気扇を回し脱衣所のドアを閉め台車を元の玄関横に置き濡れた床を拭いた。  全て終わって気づけば17時で仕事が押してしまっているため、お隣さんの熱を今一度計り38.3と少し下がったのを確認し汗を拭いてから置手紙描きローテーブルへ置く。  私の部屋の冷蔵庫からヨーグルトやゼリーなど食べやすい物を持ってきて冷蔵庫に入れ玄関ドアの鍵をかけて郵便受けから鍵を入れて部屋の中へ返却し帰宅したのだった。
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