chapter01. お隣さんをたすけました。

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---------ピンポーン  煙草を吸い終わりビーフシチューを作るために人参とジャガイモの皮をむいているとインターフォンが鳴りモニターを確認してからドアを開ける。 「おつかれー。」 「腹減った。」 「ご飯もう少しかかるけどどうする?食べてく?」 「・・・・食う。」 この間知り合ったばかりだと言うのに凄い慣れたなと思う。  どーぞと入れると、聡人は慣れたものでいつものこたつの定位置に座りテーブルの上の除菌シートで手を拭いた。  ビーフシチューの野菜が柔らかくなったのを確認し、海藻サラダ、ネギと鳥肉の塩と黒コショウ、レモンで味付けたのをお皿に盛り付け、ビーフシチューと白米も一緒にテーブルに運んだ。  聡人はいただきますのポーズだけするとビーフシチューを口に入れると少し笑った気がした。   「今日のビーフシチューは自信作なんだよー。」 「ん-。うまいよ。」 「ありがとう。」  聡人は口は悪いしぶっきらぼうだけど、ご飯は美味しいって必ず言う。それがとてつもなく嬉しくて、胸の中がほっこりする。 もくもく食べる聡人を見ながら私もビーフシチューを口に入れる。 「おいしー。幸せ。」    つい声が出る。 美味しいものを食べてる時が一番幸せだと思うけど、多分食後の一服してるときにも同じこと思っているから欲求を満たすっていうのはストレス発散になるんだろうなと思う。  だからって人様の迷惑になる欲は捨て去るべきだけど。 あーおいし。 ---------------------------------- ------------------------  ご飯を食べ終わり食器を片付けていると、後ろで電話が鳴り振り返ると聡人が電話に出ていた。 「はい・・・・そのデザイナ案でしたら先日お渡しした書類の3ページ目と4ページ目に資料がありますので確認していただけますか?・・・・・・はい、そうです・・・。」  仕事の電話か。この時間に仕事の電話とか鬼だ。もう20時を回るというのに・・。    カモミールティーを入れ蜂蜜を混ぜて聡人の電話が終わったタイミングでテーブルに運んだ。 「飲んで。食後の一杯。よく眠れるようになるよ。」 「ん。サンキュー。」  短く返事をしてカモミールティーを飲む聡人を見届けベランダに出て煙草に火をつける。 あの介抱した日から一気にご飯のお供になったけどコミュ障の私にしてはすごい変化だなぁ。おまけに顔面偏差値高杉君ときたもんだ。  しんと静かになった部屋に紅茶を飲む音が小さく聞こえる。それがとても心地よくて自分の口角が上がるのを感じた。  
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