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「ずーっと一緒にいないだろ。俺とお前じゃ、最初の配属先が違うんだから。俺は施工管理部、お前は最初っから営業部」
味噌汁を喉に流し込むと、「マジレスするなって」と朝比奈が言う。
「言葉の綾だろ?」
「あーそうですねー」
「面倒くさそうに返さないでくれる?」
陽太はそれを無視して焼肉を放り込むと、白米をかき込んだ。あっという間に皿の上から焼肉は無くなり、お椀に入った白米と味噌汁も無くなった。
「ご馳走様でした」
「あ、早い。ちょっと待てって」
朝比奈を置いて先に食器を返却しに行くと、さっさと部署に戻る。後ろから急いで食べ終えた朝比奈が追ってくる。
「で、タイプだった? 惚れた?」
「お疲れ様でーす」
「おい、無視するなって。あ、お疲れ様です」
陽太が自分のデスクに座ると、朝比奈が回転椅子に座りながら陽太の所にやって来る。
「どうなの?」
「何でそんなに聞きたがるの? 中学生なの?」
「ピチピチの26歳ですー。って、気になる以外の何者でも無くない? だってあの刈部がその人のために女子社員にお礼の品は何がいいか聞きまわったんだよ」
「そりゃ、命の恩人だし。貰って喜んでほしいだろ」
「いーや、違うな。俺はお前の親友だぞ? お前が間中さんに好意を寄せているのが分かる」
「……え、俺お前の親友?」
朝比奈は目をまん丸にすると「そうだよ!」と叫んだ。
「一緒に仕事をして、ご飯食べて、休日に遊んで、恋バナして。親友だろ!?」
「……普通の友達でもするのでは?」
「俺らは友達の絆を越えてるから親友なの!」
怒った口調で言うと、陽太は「そうか?」と聞いて朝比奈が強く頷く。
「だからさ、親友よ。正直に言いなよ?」
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