踊れ、朱に塗れて。

1/1
前へ
/1ページ
次へ
さぁ、音楽が始まった。 みんなこっちにおいで。 ゆっくりでもいい。前に出てくるんだ。 ぶつからない様に、お互いの距離も取りながら。 おっと、一番向こうの君。そう、君。 いい表情をしてるねぇ。 名前は何て言うの?  大丈夫、今は喋ってもいいんだ。名前を教えてくれるかい? …ああ、あの工場長のお子さんか。 君のお父さんの事はよく知ってるよ。 そうかぁ、彼の子どもか。 おい、誰か。 工場長の顔が分かる者、彼を此処に連れてきてくれないか? 頼んだよ。 こらこら、どうした?  何故みんな止まってるの。 休憩にした覚えはないよ? さぁ、気持ちを切り替えて、続きを始めよう。 不格好な踊りになっても構わない。恥ずかしがる必要もない。 君たちがどれだけ頑張れるのか、その姿を見せて欲しいんだ。 倒れてしまったら、負け。 毒を飲んで死んでもらうよ。 お。連れてきてくれたかい。 ありがとう。 工場長、久し振りだねぇ。 首だけになるのはどんな気持ちだった? ほら、あっちを見てごらん。君のお子さんが…、おや、倒れてるね。 残念。膝から下を切り落とされて踊る姿を見せたかったのに。 あの子に毒を飲ませろ。 次の子の足も切っておいてね。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加