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っっっ、可愛いだろ!?
あああやっぱりルスは、真っ直ぐで可愛くて、男前なんだよなぁ……。
普通、もうちょっと躊躇うだろ?
覚悟が早いんだよなぁ。
俺はルスの男気を噛み締めながらも、下衣を下ろしたままのルスの太ももを撫で回す。
その間にシャツの前ボタンを片手で外してゆく。
「お前……器用だな」
ぽつりと呟かれて、苦笑する。
「まあ、お前よりは回数こなしてるからな」
言われて、ルスがちょっとだけムッとした顔になる。
……何だそれ、何にムッとしたんだ?
え、何、妬いてるわけ? いや、まさか、違うよな?
回数自慢みたいに取っただけか……?
考えながらも前を開いたシャツの隙間から手を差し入れる。
胸元をゆっくり撫でると、酒のせいか汗ばんだ肌が吸い付くようだった。
毎日の鍛錬で、むっちりと筋肉が隆起した肌。胸の谷間がくっきり見えれば、何だかそれだけでドキドキしてしまう。
広く厚い胸筋をクルクルと円を描くように撫でると、次第に小さな突起が指先に引っかかる。
「っ……」
びくりとルスが肩を揺らす。
それを合図に、俺はルスのシャツを大きく開くと、立ち上がり始めている小さな突起に唇を寄せる。
周囲をくるりと舐め上げて、その突起を舌先で転がせば、ルスが小さく息を吐く。
自分の足をルスの太ももの間に差し込んで、ぐいと押し付ければ、そこには確かに硬くなりつつある感触があった。
心が弾む。
ルスが俺の愛撫に反応してくれる事が、俺は純粋に嬉しかった。
片手でルスの胸を刺激しながら、もう片方の胸を舌で撫で、腕を伸ばしてルスの立ち上がったそれを擦る。
脱がしかけていた下着を膝のあたりまで下ろすと、ルスは大人しくそれを自分で脱ぎ去った。
不意に胸元を撫でられて、俺はびくりと腰を浮かした。
顔を上げて見れば、ルスは、まだちょっとムッとした顔で俺を見ていた。
「俺ばかり撫でられていては、不公平だろう」
「何だよ、それ」
俺は思わず苦笑する。
「お前も脱げ」
「えー、脱がしてくんねーの?」
「すまんが、お前の服は何がどうなってるのか分からん」
正直に謝られて、俺はもう一度苦笑する。
けれど胸の中はホッとした気持ちでいっぱいだった。
ルスが、変わらない様子で接してくれるのが嬉しかった。
確かに、今日の俺の服はベストが脇で隠しフックになってるもんな。
服に無頓着なルスが脱がせられるような服じゃねーか。
納得しながら、俺はベストを脱いだ。
すると、ルスが両手を伸ばして俺のシャツのボタンを外してくる。
見た目重視の小さな薄い貝のボタンに、ごつい手が苦戦する様が、たまらなく嬉しい。
これ、俺のために脱がしてくれてんだよな?
「あんまり嬉しそうな顔をするな……」
困ったように、太い眉が寄せられる。
「いや無理無理、もう俺、これ以上顔引き締まんねーから」
「どこも引き締まってないじゃないか」
「お前が可愛過ぎるんだよ」
言われて、男が黒髪をベッドに擦りながら首を傾げる。
まるで身に覚えがないというような表情に、俺は苦笑した。
まあ、確かにこの一見して筋骨隆々としたオールバックの四十歳の男を、可愛いというやつはまずいないだろう。
だが俺は、こいつがまだ幼い頃の、サラサラと黒髪を揺らしていた時期を知っているし、そうでなくても、仕草がいちいち可愛い。
真っ直ぐで真面目そうな眉が可愛い。
小さな黒い瞳が可愛い。
笑顔も、驚いた時のキョトンとした顔も、たまらなく可愛い。
「よし、全部外せたぞ」
苦戦していたボタンを外し終えて、満足そうな笑顔でルスが言う。
「よし、じゃねーよ。もうちょいムードってもんがあるだろ」
そう返しながらも、俺はその笑顔に見惚れていた。
「そうか、それは失礼」
ルスは素直に謝って、俺に口付ける。
え、まじで?
俺に、お前から、キスしてくれるとか、どんな夢だよ!!
うう、心臓がぎゅうぎゅうなりすぎて、もう痛くなってきた……。
分厚い手のひらが、俺の後頭部を撫でる。
温かくて優しい感触に息が詰まりそうになる。
そのまま、ルスの手は俺の頭を引き寄せた。
ルスは角度を変えて、俺の口内へと舌を挿し入れてくる。
「っ……」
俺は、口を開いて必死でそれに応えた。
こいつ、舌まであったかいな……。
体温が俺より高いのか……?
ぬるりとした舌は分厚く、大きくて、俺の口内をいっぱいにする。
「ん……っ、ぅ……」
ゆっくりと歯列をなぞられて、ルスの舌が、俺の中を全て確かめるように撫で回す。
頭の奥がじんと痺れてクラクラする。
身体中から、力が抜けてしまいそうだ。
「っ……、……んっ」
息が苦しい。でもルスを離したくない。
息って、いつもどうやって、吸ってたっけ?
俺が混乱していると、気付いたルスが唇を離した。
「おい、レイ、落ち着け。ゆっくり吐いて、それから息を吸え」
どうやら、俺はずっと息を止めていたらしい。
言われた通りに息をすると、ようやく新鮮な空気を取り入れた肺が軋んだ。
「……大丈夫か? 唇が紫色だったぞ」
「今は……?」
「大分戻ってきた」
「はは……。ダメだわ。俺、お前が相手だと、なんかもう、息すんのすら忘れちまうな……」
俺が力なく笑うと、ルスは小さく息を詰めた。
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