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「っ、お前……」
戸惑う眼差しが俺に降る。俺は笑って答えた。
「ベッドまで来といて、何もないなんてありえないだろ?」
「俺は、そんなつもりじゃ……」
ルスが、その実直そうな眉を八の字に寄せる。
あー……、ルスは困った顔も可愛いな……。
「お前はそんなつもりなくても、俺にはあるんだよ」
俺はそう言ってもう一度口付ける。今度はもっと、深く。
ルスは俺の求めに応えてその口を開いてくれた。
え、っと、俺、入れていいんだよな?
そろりと舌を挿し入れれば、ルスの口の中は、やっぱりあったかかった。
おずおずと侵入した俺を、ルスはその分厚い舌で迎え入れてくれる。
ぅあ……気持ちいいな……。
俺の舌に、ぬるりと絡んでくるルスの舌が、めちゃくちゃ気持ちいい。
伸ばした腕の先、触れていたルスのものが、手の中で硬度を増すのを感じて、俺は手を動かす。
ほんの何度か擦るだけで、それは立派に立ち上がった。
俺が唇を離せば、ルスはほんの少し名残惜しそうに俺を見つめた。
何だその物欲しそうな顔……。
お前のそんな顔、初めて見たよ。
「お前、歳の割には元気だよな」
俺が笑ってこぼせば、ルスも笑って答える。
「俺はまだまだ若いつもりだ」
「……ルスのそういうとこ、俺好きだわ」
ぽろりとこぼした俺の言葉に、ルスは嬉しそうに目を細めた。
なんっ……。……お、お前……。俺に好きだって言われて、嬉しいのか!?
「ありがとう」
ふわりとルスが微笑む。カーテン越しに明るい朝日の差し込む室内で、ほんの少し照れるように、それでも嬉しそうに微笑むルスは天使のようだった。
うぁぁぁぁ、ダメだ、もう、俺の旦那が可愛過ぎる……。
俺は真っ赤な顔を隠すように、身を屈め、ルスの服へ両手をかける。
ずるり、と下着を下衣と一緒に下ろせば、ルスが慌てる。
「待て、お前はまだ……」
気遣う言葉に、明るく返す。
「心配すんなよ、後ろは使わねーからさ」
俺の言葉にルスがホッとした気配が伝わる。
可愛い奴だと思う俺の目の前には、ちっとも可愛くないサイズのモノがそそり立っていた。
これが、昨日は俺のナカに全部入ってたのかと思うと……。
ごくりと唾を飲めば、背をぞくぞくと熱いものが上がる。
これを入れて欲しい。そう思う自分に驚く。
そんな感情、昨日まで知らなかった。
熱いそれを両手で包み込みながら思う。
ルスは俺に、入れたいと思ってんのかな……。
さっきのルスの、欲を映した黒い瞳が眼裏を過ぎる。
……そうだよな。そういう、事だよな……。
両手で大切に扱けば、ルスの先端からトロリと蜜が滲む。
何となく、美味しそうな気がしてそれを舐めた。
「っ……」
びくりと、ルスが小さく震える。
その反応が嬉しくて、俺はそれを口に含んだ。
舌でくびれをなそれば、口の中のルスが小さくのけぞる。
伝う唾液でぬるりと指が滑る。それと共に頭を揺らせば、ルスから小さく息が漏れた。
感じてるんだ。そう思うと、胸がじんと熱くなる。
気付けば俺は夢中で頭を振っていた。
ルスの息が、少しずつ上がってゆく、それが俺にはたまらなく嬉しかった。
「っ……レイ……っ」
掠れた声で呼ばれて、俺は顔を上げる。
頬をほんのり赤くしたルスが、ほんの少し潤んだ瞳で、俺を見つめている。
「苦しくは、ないか? 頭は……痛まないか?」
「そんなの気にすんなよ、お前は素直に感じとけ」
俺の返事に、それでも生真面目なルスが「しかし……」と返す。
頬を染めた顔で、そんな風にもじもじされると、なんかもう、たまんねぇな。
……昔から。
ずっとずっと前から、こんなルスが、こんな清純そうなルスが、もし俺の下で乱れたら、どんな顔をするだろうかと思っていた。
でも昨夜、やっと思いを受け入れてもらって、初めてひとつになった俺達は、俺の方が抱かれる側で、乱されたのは俺だけだった。
ルスが『俺の嫁』だと言ってくれたのは本当に嬉しかった。
けど……、だけどさ……。
「あのさ……。俺……お前に入れたいんだけど……」
俺の絞り出した本心に、ルスは目を見開いた。
「そう、か……」
「やっぱダメか?」
「……いや、ダメだと、言う理由は無い」
遠回しな言葉に、俺は尋ねる。
「怖いか?」
ルスは暫し沈黙して、それから、意を決したように俺を見て言った。
「…… そうだな、昨夜は俺が入れたのだからな、対等な関係に不平等があるのは良くないだろう」
……いや、そういうもんか?
多分、世の中的にはそうじゃないと思うんだが、ここは黙っておこう。
何せ、真面目なルスが、真面目に騎士道における平等を考えた結果、俺に抱かれようと決意してくれたんだから。
――……って、まじで!?
えっ、まじで俺、これからルスが抱けるわけ!?
うわー!! うわーーーーー!!!!
「……だから、お前が赤くなるな」
俺は、ニヤつく顔を抑えきれずに顔を覆……おうとした両手は自分の唾液でベタベタだった。
「レイ、顔が緩んでるぞ」
ルスの半眼が、それでも優しい。
「いやだって、……すげえ嬉しい……。俺の、夢だったからさ」
胸がいっぱいで、俺の言葉は小さく震えていた。
「……そうか。それなら、俺も精一杯応えよう」
ルスはそう言って、俺の頭を撫でると、優しく微笑んだ。
あああああくそ真面目男前ぇぇぇぇ!!!
そうと決まれば、俺はルスを連れて風呂場へ向かう。
排便について尋ねれば「朝食はまだだが、水も飲んだし出せるだろう」と頼もしい返事で、毎朝快便らしいルスがするりと自主排便してくれた。
それなら後は、洗ってやるだけだな。
あ。でもそろそろ起きて結構経ったし、腹減ってねぇかな?
でも食べてすぐじゃ動きにくいしな……。
悩む俺に、ルスは「してから食べよう。俺が作ってもいいし、何か買ってくるでもいい」と優しく答えた。
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