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「――続いて、学院長より挨拶がございます。」
入学式。
それは、ヴァーグにとって全く必要が無いと思える学校行事の1つである。
「この度はご入学おめでとうございます。
さて、本日よりこのグレアライク魔法学院の生徒となった皆様ですが、我々魔道士というのは、団体で行動するのが基本です。
それはなぜか。…というのはまた今度教えるとして。」
学院長はそこで1度言葉を切り、ゴッホン、とわざとらしく咳払いをする。
「これより、それぞれに軽い自己紹介をして頂きます。
例えば、そうですね。名前と意気込みでも言って貰いましょう。あとはそれぞれ自由にしていいですよ。」
このタイミングでそれをするのはなぜか。
ヴァーグは推測する。
大方、相手のことを知って交流を深めようとか、そういう理由だろう。
なにせこのグレアライク魔法学院は、隣国のレグラス魔法学校に並ぶ名門校なのだ。
各地から魔道士になりたいと志す者が田舎から都会まで、それはもう腐るほど集まってくる。
ゆえに、ここに集っている者は種族も違えば身分も違う。肌の色も、体格も。
「アレク・ハーレイだ。よろしく頼むね。」
「し、シユリ・カサキ、です。よろしく、お願いします。」
王族であるハーレイ家の次男に、…どっかの田舎娘か?
どちらにしろ身分の差別は無さそうだ、とヴァーグは確信する。
「では次の生徒。_名前と意気込みを。」
カツン、とブーツのヒールが床を打つ音がホール内に響き、その場にいた者達の視線が一気にヴァーグの元へ集まる。
長い淡水色の髪を見て、誰かが綺麗と呟いた。
「……ヴァーグ・フォンテーヌ。よろしく。
魔道士階級は二段。まあ、“雑魚共”に対する挨拶はこんくらいでいいか。」
――ヴァーグのその一言で、その場は一瞬で凍りついた。
「いいか、俺は“雑魚共”とは違う。それだけは覚えておけ下っ端。」
凍てついた瞳で周りを見渡したヴァーグと、1番最初に自己紹介をしたアレクの目が合った。
彼は心底信じられないといった表情で、ヴァーグのこと見つめていた。
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