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「…おい、これは一体どういうことだ。」
寮に着き、部屋番号と同室者名が書かれたプレートを見て、ヴァーグは怒りをあらわにした。
「なんの事かな?」
いつの間にか背後に立っていたアレクを、ヴァーグはギロリと睨み付ける。
「お前…!職権乱用だぞ!
今すぐ寮部屋の変更を申し出る!!」
「ちょっと待ってくれ。俺は別に君と同じ部屋にしろと学院側に指定した記憶はないよ。
というか…うん!やっぱり君最高だ!!」
キラキラと輝いた目でこちらを見るアレクを無視して、ヴァーグは踵を返そうとする。
しかし、アレクは譲らないと言わんばかりに、ヴァーグの前に立ち塞がった。
「とにかく、お前と同室なんて死んでも嫌だ。」
「俺のことがそんなに嫌いかい?それとも、王族が…」
「そんなんじゃない。ただ、お前と一緒だと何かと目立つだろうが。」
そこでアレクはブッと吹き出した。
「君、さっき公然であんな宣言をしておいて、ふっ…、あー、面白い。」
「お前、頭がおかしいんじゃないのか。王族と言えど雑魚には付き合っていられないな。」
「言ってくれるな。まあ、確かに俺は、魔法があまり得意な方じゃないから、君から見れば雑魚かもしれないけど。」
自嘲しているようにも聞こえるが、アレクは余裕そうな笑みを浮かべながら話している。
「さて、いつまでもここで話しているわけにもいかないし、早く中に入ろう。先生方に見つかったら入学早々怒られそうだしね。」
「…勝手にしろ。」
結局その日アレクは、一日中、ことあるごとにヴァーグに話しかけてきた。
「それで明日の予定だが、ヴァーグ、君は途中で去って行ってしまったから話は聞いてないよね?
どうやら新入生歓迎会をしてくれるらしいよ。」
アレクはまたもやキラキラとした瞳でヴァーグを見てきた。
「お前、どうしてそんなに俺に構おうとするんだ。こんなにも拒絶しているのに。」
「えっ、いや…」
アレクは初めて口ごもり、ヴァーグから目を逸らした。
「まあ、お前が俺のことをどう思っているかなんてクソほどどうでもいいが。
ところで、お前"ジェラルド・スノードロップ"という人物を知っているか?」
「ああ、勿論。知っているよ。」
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