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プロローグ
まるで、銃口を向けられているようだ。
大きなつり目は爛々と輝いている。腕を組み、仁王立ちでこちらを見下ろす少年は、自信に満ちた不敵な笑みを浮かべていた。
「いいことを考えた!」
高らかに宣言する声はよく響く。月に背を向けているせいで、彼自身が輝いているようにすら見える。心臓がバクバクなって、喉がヒリヒリするのは、彼を見ているからだろうか?
「君の絶望を」
俺を指差すピンと伸びた右手が、ひらりと返って彼自身を指した。その仕草でさえ酷く魅力的で、嗚呼、恋とは、命を狙われるより随分恐ろしい。死ぬ間際よりずっとずっと、身体中が警告を鳴らしている。
「僕が殺してあげよう。」
それはまるで明日の夕飯を決めたように軽い口調で、なのに俺を射抜くまっすぐな目を見れば、一世一代の告白のように聞こえて。
「……ああ、いいぜ。」
だから、俺は熱に浮かれたまま笑って、その手を取ったのだ。
「せいぜい振り回してくれよ?俺の神様。」
あの日俺は、神様に無謀な恋をした。
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