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ひかり
真っ暗な夜の街に、蛍のおしりから放たれたような、ぼうっとした小さなひかりがひとつ。
ひとりの少年が、そのひかりのほうへやってきた。
少年は、この街の者ではないらしく、荷物を沢山背負って、服もあまりきれいとは言えない、つぎはぎのある服を着ていた。
この街で、僕はやっていけるのだろうか。
夜の街の暗さに、少年の不安が増す。
すると、そのひかりは、少年の目の前までやってくると、ぼうっとその明るさを増してみせた。心做しか、暖炉の近くに居るような暖かさと、安堵を少年は感じた。
しばらくすると、そのひかりは、少年の頭上をぐるぐると廻ると、そのまま街の方へ向かって真っ直ぐに飛んでいってしまった。
それを見つめる少年の目に、もう不安な表情は浮かんでいなかった。
あのひかりを追いかけるだけだ。
少年は、そう決意するのだった。
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