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「おいおい、誰がタダでやるって言ったぁ? この場合は物々交換が礼儀だろ。で、お前は俺様に何をくれるんだ? まさかタダで貰う気じゃないだろうな?」
「え… ? でも、僕は何も交換できるもの……」
「かぁ~っ。じゃあ、そんなんじゃ物々交換は無理だな。おい、返せその魚。お前は魚の骨でも大人しくしゃぶってろ!」
テルキはそう言うと一気に態度を変えてジュンから焼き魚が刺さった棒を取り返そうとした。
「やだ、僕だって飢えてるんだ! 誰が返すか!」
「あ~!? なんだとこのアマ、それは俺様が捕ってきた魚だぞ!?」
「嫌だ! テルキ君、焼き魚まだあるじゃないか! 一本くらい僕にくれたっていいじゃないか!?」
『なんだとぉ~~っ!?』
ジュンは持っている焼き魚を必死で死守した。するとテルキが右足でドカッと腹に蹴りを入れた。
「コイツ、猫ババとはいい度胸だな! このアバズレがぁ~~っ!!」
そう言ってゲス男になると、ジュンを罵倒して罵りながらフルボコにした。ボコボコされたジュンの右手から焼き魚が刺さった棒を奪った。そして、彼は鼻を「フン」と鳴らすとそのまま背中を向けて歩き、地面に焼き魚が刺さった棒突き刺すと、浜辺に座り込んで食べかけの焼き魚を無言でムシャムシャと食べた。
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