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「バカ野郎! 俺は食料なんかより、お前の方が大事だっ!!」
「えっ……?」
その言葉にジュンはハッとなってみつめた。彼は急に態度が変わると、持っていた槍を地面に落として手を差しのべた。
「今さら正気になったよ、全部俺が間違っていた…。こんな状況だったから少しは現実逃避すれば遭難したことは忘れられるかなと思った。だから何かと、ド腐れゲスクズ野郎になってはお前に辛く八つ当たりしていたんだ……」
「てっ、光輝君……!」
ジュンは彼のその言葉に辛い日々を思い出すと、瞳がウルウルして泣いた。
「今さらだけど俺が悪かった……だからその、許してくれるか…?」
「ふぇっ…ひっぐ…うっうっ…テルキ君…――! うん、わかった…もう一度仲直りする……!」
「ああ、俺もだジュン…――!!」
テルキは落ちそうになっているジュンを崖の上から引き上げると、二人は熱い抱擁をかわしたのだった。
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