8『銀河鉄道の夜』(第五夜)

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 「銀河鉄道の時刻表」については、今回は述べる余裕がありませんが、ひとつだけ簡潔に言えることがあります。(もちろん、これはあくまで一つの考え方に過ぎませんが……) 『銀河鉄道の夜』は、賢治の「樺太旅行」と、なんかすごい関係があるのかもしれない。もしそうなら、この物語は、賢治の最愛の妹トシと関係があるのかもしれない。  「銀河鉄道がどこを走っているか」を考えるということは、乗客たちが何者で、どこに向かっているのか、という点を考える、ということでもあります。主人公のジョバンニにつき、賢治自身がモデルであろうということは、あまり争いがないようです。  では、カムパネルラのモデルは誰でしょうね。カムパネルラ。「どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んでいこう」と、ジョバンニが語りかけた相手。その姿が消えてしまうと、ジョバンニが、「咽喉(のど)いっぱい」泣きだしたほどの大切な人……。  いま考えていることを文字にしながら、私自身、胸がいっぱいになってしまったので、今回はこれまでにしとうございます。 (続く)
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