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「恐らく多くの人が『そんなにぶつかれるか』とか『そんなことしたら痛い』と思うだろう。ここで大事なのは主観的な考えではなく客観的な見方なのさ。この例で言うなら、自分が壁に体当たりするのではなく、粒子がぶつかると考える。客観的に物をとらえることで、痛いとかそういう感情抜きで考えることができる。その方が人生退屈しないと思わないかい?」
「…………」
うわ、やっぱり変人だ。こいつは授業でもスイッチが入るとめちゃくちゃ語り出す。しかも理解が難しい話を。でもなぜか彼の声を聞いていると落ち着く。どこか満足そうな顔をしているように見える。そんな彼を見て俺も少し幸せな気持ちになった。こんな感覚は初めてで、存在することすら知らなかった。
客観的、か。思い返してみれば俺は主観的な考え方が多いかもしれない。だからイライラするし、悲しくなったりもする。客観的にとらえた方が気が楽かもな。でも、今の俺は日比谷と話せて嬉しいとか、人の温もりが心地いいとか、そういった想いで溢れている。きっと客観的な考えなんてできないんだろうな、と目の前にいる日比谷を見て感じた。
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