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むっくり起き上がろうとする大根が、見る間に黒ずんでくる。
目が血走りすっかり濃紺に……紫大根に変化する。
湖に向かい、その申し訳程度の両手を前に突き出す。
その指(?)のような突起物から、邪悪な光を放つや否や怪しい扉が湖面の上に現れた。
<じぇ、じぇいみん?何を…… >
何も聞こえない様子でコントロールを失い暴走した大根は尚も扉へ光を送り続ける。
<お前の 光合成ってそういうもんじゃ…… >
バリバリッ―― バンッ。
いきなりドアが開く。
暗い闇のような、一目でそこへ入ってはいけない おどろおどろしい雰囲気が漂う。
しかし、皆、急に体が浮き上がり、ふわりと体が引き寄せられていく。
<ブラックホール? >
<まっ、マズいぞ。吸い込まれる >
<ヽ༼⁰o⁰;༽ノ >
<どうしよう。みんなを巻き込んじゃった>
だれも抗う事ができず、なすすべもなくそのドアの中へ引き込まれてしまった。扉は閉ざされ、湖面から消え去った。
後には波紋と静寂が残された。
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