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朝、目が覚めると、目の前に永倉副社長の寝顔がある。
そっかぁ…昨日の夜…私…副社長と…。
色々と思い出して、照れからか顔が赤くなってしまう。
永倉副社長は、すやすやと寝息を立てて眠っていて。
その寝顔は本当に子供みたい。
そうやって、暫くその寝顔に見惚れていると。
ピコン、ピコン、と、ベッドボードに置いていたスマホが鳴り出した。
そのスマホは永倉副社長のもので、
その音はアラームで、段々と音が大きくなる。
「…ん、もう朝…。
ねむっ…」
永倉副社長は子供のように瞼を手の甲で擦りながら目を覚ますと、この人の腕の中に居る私に目を向けた。
「お、おはようございます…」
なんだか、とても緊張してしまう。
「あ、そっかぁ」
そう、ちょっとそっけなくて。
その、そっかぁ、は、昨日の夜私とした事に対してだろう。
「あ、はい…」
「俺、今日仕事だから。
そっちは?」
「私は休みです」
「そう」
寝起きだからなのか、永倉副社長は昨日の夜のような甘さの微塵もなくて。
「俺、アラームけっこうギリギリに合わせてるから。
もう用意するけど」
永倉副社長は、スマホを触りアラームを止めると、ベッドから出た。
永倉副社長は裸なので、思わず目を反らしてしまう。
「文乃ちゃんだっけ?
俺、今日一枝(ひとえ)君に頼まれて、辻丸食品の営業部長と打ち合わせなんだけど。
行きたくないなぁ」
そう聞こえた声に、そちらに目を向けると、既に永倉副社長はボクサーパンツとTシャツは身に付けていた。
ポン、と枕元に私の衣服が置かれる。
そういえば、シャワーを浴びた後はバスタオル一枚で寝室に来たけども、
脱いだ服もベッドの近くに置いていた。
置いていて良かった。
でなければ、素っ裸でベッドから出ないといけない所だった。
布団の中で、衣服を身に付けて行く。
そして、大半を着替え終わると、ベッドから出てカーディガンを羽織った。
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