ネクタイ

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「これは、やっぱり文乃ちゃんにあげる」 「え、でも」 「今度は、文乃ちゃんの腕に巻いちゃおうかな」 そう言って、それを私の左手首に巻くと、蝶々結びにする。 それは、赤いリボンみたい。 永倉副社長も同じ事を思ったのか。 「ネクタイが運命の赤い糸みたいだね。 こうすると、リボンみたいだけど。 このままプレゼントとして、貰っちゃおうかな?」 その、プレゼントというのは、 私自身の事だろうか? 「今夜、うちに連れて帰っていい?」 子供のように首を傾げて訊いて来るその顔が、 本当に可愛くて、胸がキュンキュンとして。 無言で何回も頷いていた。 その後、二人とも2杯程カクテルを飲み。 いつもならば、こんな量で酔わないはずなのに、何故か凄く酔ってしまった。 もしかしたら、この酔いはお酒のせいじゃないかもしれない。 永倉副社長に酔っているのかもしれない。 その時、交わした会話は、ちょっとした仕事の話や、映画やお酒の話で。 バーの支払いも、気付いたら私の分も永倉副社長が済ませてくれていて。 タクシーで、約1駅の距離の場所にある、 永倉副社長が住むタワーマンションへとお持ち帰りされた。 永倉副社長のそのマンションの部屋はとても片付いていて、 リビングのシェルフに綺麗にフィギアやプラモデルが並んでいた。 「あ、ガンフォーマー懐かしい」 子供の頃観ていたアニメのロボットのプラモデルを見付けて、 テンションが上がる。 「俺も昔ハマって、よくプラモデル造ってて。 これが初めて造ったやつで、後は出来がいいのを数体飾ってるの」 そう言われ見ると、色も自分で塗ってるのか、とても綺麗。
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