中庸の女

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 慌てて、返信する。 『ありがとうございます。ぜひお願いします!私も次の山をどうしようか考えている最中でした。お誘い、本当に嬉しいです!』  送信。これで1つ繋がった。  山で相手を見つけるなんて、思ってもいなかった。こんな経験は初めて。自分を飾らず、ありのままの自分でいられる場所。私にとって、そこが山。  きっと彼も近い価値観なのかもしれない。  私は携帯を雑誌の脇に置き、雑誌に目を戻した。新緑の緑が輝く、山の写真を眺める。  扱いにくい私だけど、そんな私とも並走してくれる人がいる。  それだけで、これからの未来が、少しだけ明るくなった気がした。  頭の中では、次の登山へのプランニングが既に始まっていた。  私は久しぶりのわくわく感とともに、雑誌のページをめくった。
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