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私の反応を見た二人は玉彦の行いを察したらしく、さらりと聞かなかったことを選択して話題を逸らした。
お役目に関して自分たちの主の判断は絶対で、非難するなど稀人の彼らの頭には無い。
多門の手からひょいとパンフレットを取った豹馬くんは顎に手を当てて、じっくりと眺める。
その視線は一定で、文字を辿るような動きはせずに写真に固定されていた。
そして改めて私の前に広げると代表の男性の写真ではなく、信者が住まう家の写真を指し示した。
木造の家が三軒。
洒落たログハウスみたいな感じで、外観のみの写真だ。
荷物を運び入れる人なども写っていて、撮影の為だけにどこかを借りたという雰囲気ではない。
家の背景は山林に囲まれており、自然と共に生きるを実践しているのだろう。
「この写真に何かあるの?」
ようく見ても視ても、特に異変を感じられる箇所は無い。
そもそも私の眼は心霊写真を鑑定できるような眼ではないのを豹馬くんは知っているので、きっと普通に見ておかしなところがあるのだろうけれど私には解らなかった。
多門も一緒になって探してくれたけれど見つからず、対面に座っていた須藤くんが逆さに見ていた写真に何かを見つけて手で口を押さえた。
「須藤くん、解った?」
「……え? あぁ、こんなに家が近いのに後ろの木々が枝打ちされてないから、山の管理が甘いなって思っただけだよ。それだけ。うん」
須藤くんの観点は独特だから私とは違う目線で発見してくれたのかと思ったけれど違ったようだ。
でも何となく、本当に何となく無難な答えに逃げられたような気がする。
「わっかんねぇー。なんかあんの?」
椅子の背凭れに仰け反った多門は両腕まで伸ばして分かり易くお手上げ状態で、私も両肘をついて顎を乗せた。
すると豹馬くんは私と多門を見て、ニヤリと笑った。
「何もない。あるって言えば何か見つけるかな、と」
「豹馬くんサイテー。ほんとサイテー」
「豹馬サイテー。マジでサイテー」
二人に非難されても屁でもない様子の豹馬くんはパンフレットを折り畳むと作務衣の懐に仕舞った。
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