1368人が本棚に入れています
本棚に追加
三方を深い山、一方を海に囲まれた自然溢れる古き良き田舎の代名詞のような五村には普通じゃないけど普通に『人ではない不可思議なもの』が存在している。
所謂妖怪やあやかしと呼ばれる類のものから神様まで、普段の生活では関わることはあまりないけれど確かに存在していた。
村民は見たことはないが居る、となんとなく解っていて、代々親から子供へ他の土地じゃ知らないがここには居るから気を付けろ、ここ以外で無暗に村にそういったものがいると口にするなと伝えられる。
そんな不可思議なものの中で、一際強力で不可思議な存在がある。
『五村の意志』と呼ばれるこれまで五村で生まれ死んでいった人間たちやあやかしたちの意識の集合体だ。
この存在について認識しているのは五村でも極僅か。
意識の集合体は魂が留まっているものではなく、あくまでも死んだ者たちが残した意識で、例えば北の山の実りは良いが南の山の実りは悪い、とみんなが思えばそうなってしまうものである。
最初のコメントを投稿しよう!