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思えば長い付き合いだった。
周囲には反対する声が多かった。
だから親しい友人にしか言わなかったけど、こっそり15の年から付き合っていた。
ミユキは指折り数えた。
7年。
7年という長い年月を共に過ごしてきた。
今までの人生、ミユキは決して優等生じゃなかったし、もちろん勝ち組でもなかった。
どちらかと言うと、薄暗い裏道を歩くような、強がってはいたけどなんとなく世間からコソコソと身を隠しているような、そんな人生だった。
それでも、
辛く、苦しいことが多かった十代を、共に過ごしたからこそ乗り越えていけたとも言える。
はしゃいだ日も。眠れぬ夜も。
いつだって優しく慰めてくれた。
ミユキの指が
唇が、まだその感覚を覚えている。
身体の内側からゆっくり満たされていく、安心感と高揚感の入り混じった不思議な感覚を。
過去にトリップしそうになって、ミユキは慌てた。
大きく首をふって、身体中に残る懐かしい感覚を振り払う。
「どうしたの?」
目の前に座る現在の彼が優しく問いかけてくる。
「ううん、なんでもないの」
ミユキは微笑み返した。
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