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第10話 ろ過器
最近、俺は店に出ている。
まあ、ただとうさまや従業員のやり取りを、聞いているだけだけどね。
そうすることで、今は何が必要とされているのか情報収集をしたかった。
そしてなにかあれば、メイドのカルロッタを連れて街に出ている。
街に子供1人で歩いたら人さらいに会うのがおちだと言う。
店の従業員は忙しく、俺の相手が出来るのはカルロッタと言う事らしい。
そして色々、街を見て回った。
気付いたのがこの世界の水事情だ。
人は一日あたり3リットル前後の水分を、摂取しなければ生きていけない。
この世界ではビールとワインが水代わりだ。
ワインの原料は葡萄果汁で絞りカスから醸した安酒ができきる。
そしてもっぱらビールが文字通り水代わりだ。
井戸水があるが臭みがありとても不衛生で、汲みに行くにも時間が掛かる。
ビールは醸造過程で水は煮沸されるので衛生的。
そして何よりアルコールの殺菌効果が非常に有効的だ。
生水を飲むときは必ずワインで割って飲んでいる。
それならアルコールに依存しなくても、一度湧かしてから飲めばいいと思うが、水を煮沸やろ過をすると言う習慣や知恵はないらしい。
酒造の技術も低く、アルコール濃度は高くない。
俺には状態異常無効のスキルがあるからいいけど。
いいのか子供頃から酒を飲んで肝機能に負担を掛けるのは。
その井戸もどこにでもある訳ではない。
井戸に近い住居は良いが遠くから汲みに来ている人は、桶を担いで何度も家を往復しなければならない。
そこで俺は考えた。
運ぶんものがあれば良いと。
【スキル】現代知識で調べると丁度良いのがあった。
二輪の人力荷車『大八車』だ。
これは木製のリヤカーで江戸時代、大工の八五郎さんが発明したと言われている。
馬車の車輪を作る技術があれば、これなら作れると思ったからだ。
牛に引かせれば木材、石など荷物の運搬に使用しできる。
そして商会の名前を売るために、ロゴを入れ『フロリオ車』として発売した。
当初は売れなかった。
そうだろうね。
しかし従業員が『フロリオ車』使い、配達をするようになってそれは変わった。
実際に荷物運びの便利さを、目の当たりにしたら使ってみたくなる。
我が家でも井戸水を汲みに行くときに使い、宣伝は欠かせなかった。
その甲斐もあって段々と注文も入るようになった。
それから安心して水か飲めるようにとろ過機を作った。
ペットボトルの様な透明な容器があれば、太陽光殺菌が出来たけどこの世界にはプラスチックがない。
メイドのカルロッタと調理人のベフに手伝ってもらい、外に出て材料を集めた。
集めたのは砂、砂利、石だ。
それを入れ物に入れて、『フロリオ車』に載せる。
ワイン用の樽を買い店に帰る。
それから炭と布を集め布、砂、炭、砂利、石、布の順で入れていく。
活性炭が無いのが残念だ。
それかできたら水を入れ、ろ過されるのを待つだけだ。
一晩経った。
ろ過器の水を飲んでみると、井戸の臭みが消えている。
これならいいかも?
俺は早速、とうさまとかあさまを呼んだ。
そして紅茶を入れて出した。
「これは美味しいお茶だ」
「本当だわ。こんなに違うなんて」
「とうさまとかあさま、この紅茶を店で出したいと思います」
「店で出す?」
「そうです。店内にテーブルと椅子をおき、お菓子を付けて飲んでもらうのです」
「それでどうすろのだね?」
「ここで美味しいお茶が飲めるお店にするのです。新しい商品が出れば、すぐにでも案内できるように普段から富裕層の女性を集め、交流の場にするのです」
「ほう、それはいい考えだ」
「そしてこの美味しいお茶は、ここでしか飲めないことを説明してください」
「そうだな。そうしないと紅茶は売れるが、美味しくなかったと言われそうだ」
それから店を訪れたお客に紅茶を出すようにした。
するとたちまち評判になり、有料で紅茶セットを飲みに来る人が出て来た。
この美味しい紅茶は、ここでしか飲めないことを説明する。
すると水を売ってほしいと言う人が現れた。
これで人が集まる店が出来た。
これからなにをやるのかだ。
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この作品はあくまでもフィクションです。
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