数ヵ月に1度の巡回デー

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数ヵ月に1度の巡回デー

 各ダンジョンは数ヵ月に1度、巡回をしています。主に契約者様が何かやらかしていないかを調査します。今日はドワーフの大家族がいるダンジョンの巡回に行こうとと思います。  まずは少し離れたところにある村を訪れて何か問題がないか村長に聞きに行くことにしました。 「すみません。私はここから3キロくらいのところに住んでいるドワーフのダンジョンを管理している者ですが、何か困ったことなどありませんか?」 「ドワーフさんたちですか? 困っていることなんてありませんよ。むしろたまに力仕事を手伝ってくれて助かっています」 「そうなんですね。それは良かったです。ちなみにどんなことを手伝ってもらっているんですか?」 「森で薪を運んで来てもらってそれを割ってくれたり、この間なんか私の家の壊れたところを直してくれてね。いつもお礼に村で育てている牛や羊の肉を渡しているんだよ」 「何もなくて安心しました。これからも仲良くしていただけると助かります。私はこれからそのドワーフたちのところへ行きますので失礼しますね」 「よろしく伝えてください」 「わかりました。それでは」  ドワーフたちが村の人たちとうまくやっているみたいで良かった。この間、子どもがまた生まれたと言っていたから子どもの人数分家賃を安くしようかな。  前言撤回。家賃を安くするのはやめました。  ダンジョンに着くと変わり果てたダンジョンに唖然とさせられました。改装禁止の物件なのにあちこち改装されていて、地下1階の物件が地下4階まで掘り進められていたのでした。いや掘りすぎでしょうコレは。 「ちょっとドワーフさん! なんでこんなに地下掘っちゃってるんですか?」 「お~不動産屋さん! お久しぶりです。これはですね村の人たちのために石炭を掘っていたらこんなことになってしまいまして」 「村の人のためとはいえ無断でやられてしまうと困ります」 「すみません、この物件なんですが賃貸から購入にしてもらえないですか? 俺たちこの場所が気に入っていて引っ越すこともないだろうから購入したいなって。購入すれば地下掘っても大丈夫ですよね?」 「わかりました。村の人からの評判もいいみたいですし今回のことは許します。物件も購入ということであれば自由にしていただいて問題ありません」 「ありがとうございます! この物件を紹介してくれて感謝してます」 「こちらもそんなに喜んでもらえていると紹介した甲斐がありました。それではまた数ヵ月後に来ますね」  今日は気分がいいので、購入価格を少し安くしてあげましょう。
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