恋と呼ぶには不確かで

1/18
150人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ

恋と呼ぶには不確かで

どちらも大切で、どちらもほしくて。 これを何と呼ぶのか、自分でもわからない。 : : 雨の日は嫌いだ。 周囲の音をかき消すような雨音。 紺色の傘の内側にある、自分だけの空間。 どうしても、感傷的になってしまう。うぜーなって、自分でも思うけどなってしまうもんは仕方ない。 ひとりで帰るようになって、もうだいぶ経つ。 友達がいないわけじゃないから、毎回ひとりというわけじゃないにしろ、いつも隣にいた2人がいない帰り道にもすっかり慣れてしまった。 ……なんて、嘘だ。未練がましく、いまだ慣れていない。 ふとしたときに隣を向いてしまって、苦しくなる。虚しいったらない。 オレから一緒に帰ろうと声をかけたとして、現実が期待したものと違ったら怖かった。そんなのをずっとずるずるとやって、結局は今日もひとり。 3人でいられなくなったのは、他でもない、オレのせいなのに。 今さらどの面さげて会いに行けばいいんだよ。 赤信号で足を止めた。雨で視界がぼんやりしている。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!