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4.背中は思ったより小さい
『おはよー!!』
うるさい声とともに起きる、これが毎日の日常になりつつある、
嫌訂正しよう、日常になっているこの表現のほうが正しそうだ。
『起きてるから、下に響く』
『ご飯できてるから冷めないうちに食べて。』
『ありがと』
ムスッとした顔で立花がこっちを向いてる。
『いただきます』
『はい!いただきます。』
はぁため息が出るのも仕方がない、こんな事毎日だ、
『期限付きとはいえ彼女なんだから、』
彼女の口癖だ、勝手に付き合うなんて言っといてそんな事言われる
こっちの身にもなって欲しいものだ。
『今日は仕事が遅くなるから、先に寝てていいから。』
『なんでそんな事言うの?起きてるから安心して?』
安心という言葉の意味を理解してるのかこいつは…
まぁ一人暮らししている時よりかは楽だしいい暮らしにはなってきた、
ただすごく気になる事といえば
『なぁこの花』
『スノードロップのこと?』
こいつはあんな話をしたのにこの花を部屋に飾ってる
あんな話をしたのにお構いなしだ。
『好きな花なんだろ?自分の部屋に置かないの?』
『自分の部屋?ここじゃん?』
ごもっともである。
6畳1間のこの部屋の中で自分の部屋なんてあってないようなものだ。
『あっ、』
『どうした?』
『親からの連絡』
『あー』
親とはひと悶着あったのは知ってるが深くは関わらないようにしている。
『今日実家帰る。』
『そっか』
こっちからしたらありがたい久々の1人だ願ったりかなったりといった事だ。
『ごめん先出る』
こいつにしては、珍しくあっさり引いたな、そんな事を思いながら見てた
背中はなにかさみしげで少し不安になった。
『いってらっしゃい』
この言葉が俺と立花の運命の歯車を少し動かした。
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