あのこがいなくなった

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灰色(まだら)の飼猫ジルは、狭い路地の塀を軽やかに渡る、渡る。 あの子はまだ、気が付いていないみたいだ。 心はワクワク、胸が高鳴る。 ジルの金色の月のような瞳は恍惚(こうこつ)に揺れた。 可笑しいわけじゃないのに。高揚して高揚して勝手に笑みがこぼれてしまう。 ジルは割ける口元に舌を這わせた。 ひらり!
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